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入浴事故はなぜ増え続けているのか? 原因を知って防止策を整えよう

入浴中は、ヒートショックによる心疾患や溺水などの事故が起こりやすいものです。特に高齢者の事故が急増しており、介護施設や老人ホームでは、より慎重なケアが求められます。まずは入浴中に事故が起こる原因を知り、防止策を整えることが大切です。本記事では、入浴中の事故についてご紹介します。

  1. 入浴事故はどのくらい起きているのか?
  2. 入浴事故が起こる原因
  3. 入浴事故を防ぐポイント
  4. 入浴事故が起きた場合の対処法
  5. 入浴事故でよくある質問

入浴事故は、事前に対策を整えれば、きちんと防ぐことができます。事故防止策と併せ、事故が起きた場合の対処法も覚えておきましょう。

1.入浴事故はどのくらい起きているのか?

まず、入浴事故の事例や頻度などについてご紹介します。

1-1.年々増加傾向にある

入浴事故は、年々増加傾向にあります。自宅や介護施設などの浴槽で事故が多発しており、交通事故での死者数をはるかに上回っているのが現状です。冬場は寒暖差による入浴事故が多くなるため、ニュースでも頻繁に報じられています。誰にでも起こり得るものとして捉え、危機管理意識を高く持つことが大切です。

1-2.溺水

日本は浴室に浴槽があるため、溺水での死者が多いのが特徴です。意識障害を起こし、浴槽内で事故に遭うケースが目立ちます。

1-3.心疾患・脳疾患などの発症

入浴中に心疾患や脳疾患を発症し、事故に遭うケースも多くあります。入浴事故の引き金となる心肺停止・脳血管障害などは、基礎疾患がない方にも起こる場合があるので注意が必要です。

2.入浴事故が起こる原因

入浴事故は、どのようなことが原因で起こるのでしょうか?

2-1.血圧変動

入浴中は、気温や水圧などにより、血圧の変動が起こります。そのため、意識障害・めまいなどを起こしやすく、入浴事故を招くきっかけになってしまうのです。

2-2.転倒

浴室は滑りやすいため、転倒による事故も増えています。高齢者は足腰が弱っていることもあり、若年僧に比べ、転倒リスクが高いのです。寒暖差による意識障害で倒れてしまうこともあります。

2-3.基礎疾患の変化

基礎疾患がある方は、入浴事故のリスクが高まるので気をつけましょう。入浴中に寒冷暴露や温熱作用を受け、基礎疾患に変化が起こりやすいのです。高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病や、自律神経系の疾患がある方は注意してください。

2-4.寒暖差によるヒートショック

部屋と浴室の寒暖差によるヒートショックは、心疾患や脳疾患を招きます。基礎疾患がない方でも、ヒートショックの影響を受け、死亡するケースもあるのです。なるべく気温差が生じることがないよう、浴室内の設備を見直しましょう。

2-5.飲酒や睡眠薬の服用

飲酒後は、身体のふらつきや転倒が起こりやすく、入浴事故を引き起こす恐れがあります。睡眠薬を服用している場合も、入浴前は避けてください。意識障害を起こし、溺水するケースもあります。

3.入浴事故を防ぐポイント

入浴事故は、しっかり対策を講じることで防ぐことができます。事故防止策のポイントを覚えておきましょう。

3-1.脱衣所や浴室に暖房を設置する

寒暖差を解消するため、脱衣所や浴室に暖房を設置しましょう。ヒートショックを防ぐだけでなく、浴室が暖かくなることで、快適さが増します。暖房は、後付け工事が可能です。リフォーム会社などに相談してみましょう。

3-2.湯温を上げすぎない

湯船の湯温は、上げすぎないように注意してください。なるべく41度以下に留(とど)め、長時間浸(つ)からないように注意しましょう。10分以内が目安です。また、血圧の変動によるふらつきを防ぐため、急に立ち上がる行為は避けてください。

3-3.見守りや介助をお願いする

入浴する前に、家族や介護施設の職員へ声をかけ、見守りや介助をお願いしましょう。入浴中の異常に気づいてもらえ、すぐに対応してもらえます。一人暮らしの場合は、前述の内容を守り、自己防衛に務めましょう。

4.入浴事故が起きた場合の対処法

入浴事故が起きた場合、どうすればいいのでしょうか? 対処法について考えていきます。

4-1.すぐに浴槽から引き上げる

溺水しかけている場合は、すぐに浴槽から引き上げてください。引き上げる前に、浴槽の栓を抜きましょう。救出の際は、なるべく大きな声で周囲に助けを求め、人手を確保してください。引き上げが難しい場合は、ふたで上半身を支え、沈まないよう身体を固定しましょう。

4-2.反応を確かめる

浴槽から引き上げた後は、肩を叩(たた)きながら呼びかけを行い、反応を確かめてください。反応があれば、意識が混濁している可能性はありますが、助かる確率が高いと考えられるでしょう。

4-3.反応がない場合は人工呼吸で蘇生(そせい)を試みる

呼びかけに反応がない場合は、まず呼吸の有無を確認しましょう。呼吸をしていないようであれば、人工呼吸で蘇生を試みてください。蘇生方法は、胸骨を30回圧迫した後に人工呼吸2回です。蘇生するまで繰り返し行います。

4-4.念のため救急車を要請する

人工呼吸などで蘇生したとしても、溺水したことにより、身体に影響が出ている可能性があります。念のため救急車を要請し、全身状態を見てもらいましょう。見えない部分に異常が起きている場合、後遺症の心配があります。また、受診することで、隠れた疾患が見つかるケースもあるでしょう。蘇生したからと安心せず、早めに受診し、原因解明と適切な処置を受けることが大切です。

5.入浴事故でよくある質問

入浴事故に関する質問を集めました。

Q.介護施設や老人ホームでも入浴中の事故は起きるのか?
A.はい、起きます。介護業界は、人手不足です。限られた人員で丁寧な介助を行っていますが、一瞬目を離したすきに。入浴事故が起こることがあります。人手不足を解消し、職員がゆとりを持って働くことができる環境作りをすることで、行き届いたケアができるようになるでしょう。

Q.冬場の入浴事故による死者のうち、高齢者はどのくらいの割合を占めるのか?
A.消費者庁が公表している統計では、75歳以上の後期高齢者が9割を占めています。とはいえ、死亡例は少ないものの、若年層の入浴事故も増え続けているため、誰にでも起こる可能性があると警戒し、普段から事故防止策に努めることが大切です。

Q.体調が優れないときは入浴事故が起こりやすい?
A.はい、起こりやすくなります。入浴中に症状が悪化し、意識障害やふらつきによる溺水などが起こり得るのです。体調が優れないときは無理に入浴せず、睡眠など休息する時間を優先しましょう。

Q.入浴中の高齢者は、どのように見守ればいいのか?
A.扉の外から声かけするなど、様子を窺いましょう。入浴時間がいつもより長い・浴室内から物音がしない・転倒したような音が聞こえたなどの場合は、迷わず様子を確認してください。体調の変化などを早期に発見でき、入浴事故による溺水などを防ぐことができます。

Q.入浴事故を防ぐための注意点は?
A.食後すぐに入浴しないことです。食後は、血圧が低下する場合があります。時間を置いて、血圧が安定してから入浴するよう心がけてください。入浴前の飲酒も厳禁です。睡眠薬だけでなく、精神安定剤を服用している方も、入浴後に服用するように意識してください。

まとめ

入浴事故は、誰にでも起こり得るものです。寒暖差によるヒートショック・血圧変動・基礎疾患の変化・転倒などが原因で、入浴事故が起こります。特に、75歳以上の後期高齢者による入浴事故が増加していますが、周囲も普段から目を配るようにし、異変を感じたら、すぐに対処しましょう。また、入浴事故を防ぐためのポイントも覚えておき、事故を未然に防ぐことが大切です。

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